絵のない絵本~幸せフクロウのマーピー第3羽~
次の日、マーピーは保育園に行きました
いつもの様に
みんなマーピーに近づこうとしません
マーピーはうつ向いて
園庭に駆け出しました
マーピーが園庭のすみで、しゃがんでいると
「…何しているの……?」
女の子の声にびっくりしたマーピーは
思わずシャベルを振り上げました
「キャッ」
マーピーの胸の当たりがキューっと痛くなり
慌ててシャベルを下ろしました
そして、そっと手を差し出しました
マーピーの手のひらには
昨夜の花の種が
まるでお月様のようにキラキラ光ってます
「わぁ‼お花のたね?‼キレ~イ‼どんな花がさくの?ねぇ、何色?」
女の子の顔がパッとあかるくなりました
「ピ、ピンク……」
「ねぇ‼今から植えるの手伝ってもいーい?」
マーピーはこくりとうなずくと
種を分けてあげました
「私、先生やみんなもよんでくる‼」
女の子は駆け出して…転んでしまいました
「いた~い」
女の子の目から涙があふれます
マーピーは女の子のひざの土を黙ってはらい
水で流し
「早く大きくなってね」
と、おもわず言ってしまいました
でも、さっきまで泣いてた女の子が
ケラケラ笑いだし
「マーピーって面白いね‼でも、私は種じゃありません」
と、言ってまたケラケラ笑いだしました
マーピーは女の子の手をにぎり
ゆっくりと歩きだしました
なんだか胸のあたりがドキドキして
女の子の笑顔がもっと見たいなと思いました
その時
マーピーの真っ白だった体に
ふわ~んと
ピンクのもようが浮かび上がってきたのでした
こうして、マーピーは七色の幸せフクロウに
いっぽ近づいたのでした
いったんおしまい❇